症状

約1ヶ月前から右顎関節部にカチカチという音が発生するようになった。特に発症のきっかけは認められない。症状は口を開けるときのみ出現し、食事の際に気になる状態であった。7年前から右耳に耳鳴りと耳のつまり感を自覚しており、これらの症状は持続していた。医療機関での診察は受けていない状態であった。腰痛の症状もあり、インターネットで鍼治療について調べた結果、全身的なアプローチを期待して来院している。

施術と経過

初診時の触診では右顎関節部周辺の筋緊張が顕著であった。肩甲骨周辺と胸椎周辺のツボに鍼を行った。初回施術後、顎関節部のカチカチ音は軽減傾向を示した。2回目の施術では同様の方針で鍼を行い、カチカチ音は明らかに減少し、1日の発生回数が数回程度まで改善した。同時に耳のつまり感も軽減が認められた。3回の施術で顎関節部のカチカチ音は完全に消失し、耳のつまり感も軽度残存する程度まで改善が得られた。

使用したツボ

ツボのアイコンからツボの詳細が見られます

• 四稜 R
• 肩参 R

まとめ

本症例は顎関節部の機能障害と考えられる症状に対して、肩甲骨と胸椎周辺への施術アプローチを選択した。直接的な施術部位ではなく、上半身の筋緊張にアプローチすることで症状の改善が得られた点が特徴的である。また、主訴である顎関節部の症状だけでなく、長期間持続していた耳のつまり感も改善が認められた。これは全身的な筋緊張の緩和が、複数の症状に対して効果的に作用したものと考えられる。3回という比較的少ない施術回数で症状の消失まで至ることができ、効率的な改善が得られた症例である。

症例を投稿した鍼灸院：養気院