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顎の痛みを鍼灸師はどう見ているのか

顎関節症とは

顎が痛い・・ 口が開かない・・

そんな顎に関するトラブルに鍼灸治療が有効であることをご存知でしょうか?

顎関節症の代表的な症状としては、

 

「顎が痛い(顎関節痛、咀嚼筋痛)」

「口が開かない(開口障害)」

「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」

 

これら3つのうち、1つ以上の症状があって他の病気による症状でない場合、

顎関節症と診断されます。

罹患率は高く、人口の6割程度が何らかの症状を有し、女性が男性の

2〜5倍発症しやすいと報告されています。

 

原因としては、以前までは噛み合わせの不良によるものとされていましたが、

現在で多因子説が有力です。

 

  1. 日中の上下歯列の接触癖
  2. 睡眠時の歯ぎしりやくいしばり
  3. 心理社会的因子
  4. 頭部の不良姿勢
  5. 片側咀嚼や頰杖をつくといった習癖
  6. 不正咬合

 

実に様々な原因が考えられています。これらの原因に対して物理療法としては、

 

・顎の周りの筋肉に対するマッサージ、ストレッチ

・関節に対して手指でアプローチし開口量を増加させる訓練

・筋力の増強

 

などが行われています。原因が多様だからこそ、対処も難しい症状として扱われ

ている印象です。これらの対処で改善しないケースもあり、そのような方が鍼灸院

を訪れる傾向にあります。

鍼灸師はココを見ている

原因にもあげられている、歯ぎしりくいしばり頭部の不良姿勢などは

首や肩甲骨、背骨の筋肉や骨が深く関わっていることを見落としてはいけません。

 

口を大きく開けてみてください。

 

顎の運動をする際に首の筋肉も大きく動いていることがわかりますよね。

このように顎の運動には、首や肩甲骨、背骨など広い範囲の影響を受けている

ことがわかります。

 

顎の痛みのある側は肩や肩甲骨周辺の筋肉が硬くなっているポイントが多いため、

臨床では必ず左右の差をチェックします。肩甲骨の動きを回復するツボを使い

肩周りの緊張を取り除くことで顎の動きも円滑になります。

 

また、背骨にも顎関節の動きに関わるポイントがあるため、背骨の動きを回復さ

せるツボに鍼を行います。

 

痛みを感じたり、動きの悪くなっている顎関節は、こうした離れた部分の不具合

最終的に請け負っている可能性があるのです。

であれば、元になっている不具合を解決させることで顎の負担を減らすことが

できると考えます。顎に直接刺激を与えずに顎の動きが回復し、痛みがなくなる。

 

この現象を日々の臨床で経験している私たち鍼灸師は、原因を顎関節に求めすぎない

よう、体全体を見渡すことを心がけています。