ツボネット ホーム

国民病・腰痛を考える

なぜ増え続けるのか?本当に原因不明なのか??

鍼灸師をしていて本当にお悩みの方が多いと感じるのは腰痛。

よく二足歩行をし始めたから人類の宿命と言われますが二足歩行ではない犬でも腰痛になる訳であって腰痛に関しては様々な矛盾があります。

その中で愛知県あま市スギヤマ治療院の杉山が鍼灸師は腰痛をこう考えるという視点でデータを交えながら考えていきたいと思います。

 

有訴率から読み取る腰痛の現状

厚生労働省が発表している国民生活基礎調査(世帯員の健康調査・自覚症状の現状)。

これをみていくと日本人が自覚している症状がランキング別で分かります。

2010年

男性:1位腰痛 女性:2位腰痛

 

2013年

男性:1位腰痛 女性:2位腰痛

 

2016年

男性:1位腰痛 女性:2位腰痛

 

この調査は3年ごとに行われます。

ここで気付いて頂きたいのが色んな治療法や寝具が開発されているのにも関わらずこの数字は歯止めがきいていません。

 

年次は古めの資料ですが右肩上がりに上がっています。

 

歳だから・・・は本当か?

当院の患者さんも整形外科で「これは加齢が原因です」と言われる例は少なくありません。

そうですね。高齢化が進んでいるから増えてきそうですね。

なんて、こう話が進めば結論づいちゃうんですが実はそうでもないことがデータからも紐解くことができます。

 

これは腰痛を抱えてらっしゃる人の年代別の割合

初めて腰痛を体験した年代

 

実は腰痛を抱えているのは俗にいう年配者ではなく30~40代が最も多く、年齢を重ねるごとに緩やかに減少傾向をたどります。

また、腰痛の初発年齢も20代をピークにどんどん減少していきます。

 

つまり、“老化だから腰痛になる”という理屈には矛盾が生じてきます。

なぜなら俗にいう若者の方が腰痛になっているからです。

 

こことここが狭くなっているので・・・は本当か?

これも割と多い話なんですが腰が痛くなったので病院に行きました。

そこでレントゲンを撮ったところ「骨には異常はありません。しかし、ここの骨とここの骨の間が狭くなっていて神経に触れている結果痛みが出ているのではないかと思います。」と診断される例は少なくありません。

 

まず神経は造影をしない限り、レントゲンには映らなかったと思いますし、本当に構造的に神経に触れて痛んでいるのであれば春夏秋冬朝昼晩痛んでいなければ話が成立しません。

そう診断がされた患者さんを問診していくと「楽な時はある」という方が多くいらっしゃいます。その時その神経の圧迫は闘牛士のごとくシュと避けられたのでしょうか。。。

そんなはずありませんね。

 

ここにもデータがあります。

年齢別の背骨の変形(骨棘)を表したものです。

年を重ねるごとにその変形の割合は増えています。

しかし、上記にも挙げたように年齢を重ねるごとに腰痛を訴える方の割合は減っていきます。

つまり、その加齢による変形と腰痛の好発は一致しないことが分かります。

 

骨棘だけではなく腰椎と腰椎の間は20代を境に狭くなっていくのは実は至極当然の事となっています。これも腰痛の好発とは一致しません。

腰椎椎間板ヘルニアしかり、3つほどヘルニアがあっても無痛状態な人がいるのも頷けます。

 

原因不明…?なぜ増え続けるのか…? 鍼灸師はこう考えます。

確かにこれほどまでに理屈がかみ合いにくいため原因が不明に感じるかもしれません。

それは腰痛に関して腰だけを見ていてもそこには原因がないからです。

だから増え続けているのではないかと思います。

我々、特に整動鍼という技術をもちいる鍼灸師はこう考えます。

【動則不痛 不動則痛:動けば痛くない、動かなければ痛い】 この原理原則に則っています。

 

つまり、腰痛にも動きを制限する原因点と痛みを感じる発現点があり、【原因=痛みのあるところ】とは考えません。

原因は痛いところとは離れています!

腰だけを見ていたらそこには原因がないので先ほども言ったように結果的に原因不明になってしまいます。

鍼灸師は動きであったり、ツボの反応を頼りに原因部分の見極めをし、そこに鍼をすることで原因部分が緩み、動きが変わり、痛みが取れてきます。

また腰痛のガイドラインにも腰痛は心理的な要素の影響も受けるとされていますが動きが整えば心の状態も安定しています。

これは科学的にも証明がされている事柄です。

 

鍼灸師が用いる鍼は直径0.16mm(など)。

浅いものは本当に数mm刺すだけ。

その鍼の本数は何十本も打ちません。

 

ずっと腰痛でお悩みという方

ツボの世界で人生が変わるかもしれません。

 

参考文献

長谷川淳史 腰痛は怒りである