NEW食事や会話が困難な顔面神経麻痺
症状

右側の顔面神経麻痺(ハント症候群の疑い)と頭痛が主訴である。症状は3週間前に頭痛が発生し、翌朝起床時に右の顔半分に力が入らず、口がうまく動かせない状態となった。具体的には、右の口角が下がり、うがいをすると水がこぼれるなどの機能障害が見られた。また、右の顔全体が垂れたような状態で、日に日に麻痺が強くなっていると感じていた。日常生活では食事や会話が困難となり、外見の変化から人に会うことを避けるようになり、不安感が強くなっていた。病院でハント症候群と診断され、2週間の薬物療法で帯状疱疹は改善したが、麻痺の症状は変化がなかった。さらに右頭部全体に頭痛が続いていた。
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来院者
女性
50 代
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期間
2023年9月 ~ 2023年10月
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頻度
週2~3回
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通院回数
8回
施術と経過
初診時の触診では、右側の顔面に力が入らず、特に口角が下がり、食事や会話が困難な状態であった。頚肩部の筋緊張が強く、血流の滞りが見られたため、頚肩の筋緊張緩和と顔への血流改善を目的として手足と背中のツボに鍼をした。初回施術後、頭痛が解消し、首・肩こりが軽減した。麻痺については動きが軽くなった感覚があったが、見た目の変化は感じられなかった。その後、2~4診目も同様の施術を行い、5診目に麻痺が飛躍的に改善し、見た目にも麻痺を感じさせないほど回復した。症例者本人だけでなく、病院の医師も驚くほどの回復であった。施術期間中に症状の再燃や新たな症状の出現はなかった。
使用したツボ
まとめ
右側の顔面神経麻痺(ハント症候群の疑い)に対して、頚肩部の筋緊張緩和と顔への血流改善を目的とした鍼施術が有効であった。初回施術で頭痛が解消し、首・肩こりが軽減したことから、血流改善が症状緩和に寄与したと考えられる。5診目で麻痺が飛躍的に改善したことは、継続的な施術による効果の蓄積が大きく影響したと推察される。症例者の不安感も軽減し、日常生活への支障がほぼ解消された。顔面神経麻痺に対する鍼施術の可能性を示唆する症例であり、今後も同様の症状に対して積極的にアプローチする価値があると考えられる。