NEW気力、意欲の低下で起こる食欲不振、睡眠障害、吐き気
症状

数年来、気力や意欲の低下が続いており、ひどくなると鬱病ではないかと不安になるほどであった。食欲不振や睡眠障害、肩首こり、便秘、吐き気など複数の症状が併存しており、日常生活に支障をきたしていた。数日前にめまいがあった際に医療機関を受診、MRIなどの精密検査では大きな異常は認められなかった。初診時の所見では、肩甲間部および腰部の筋緊張が顕著で、首の可動域低下が確認された。また、四肢の冷えも目立つ状態であった。
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来院者
女性
70 代
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期間
2023年11月 ~ 2023年12月
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頻度
週1回程度
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通院回数
6回
施術と経過
初回は手足のツボを中心に鍼をした。施術直後から首と肩の可動域が大幅に改善し、深呼吸がしやすくなるなど、即効性のある効果が得られた。その後、首の可動域の維持改善を目標に施術を継続、自宅での施灸を指導した。3回目から効果の安定を目的に腰のツボに鍼を追加。施術経過中は日によって肩の張りやめまい、眠気のような不快感が出現することもあったが、6回目までの施術でめまいや吐き気は消失するなど、症状は大きく改善した。睡眠の質や排便状態も良好となり、気力や意欲の低下も改善がみられた。
使用したツボ
まとめ
本事例では、気力・意欲の低下を主訴とし、それに伴う複数の身体症状に対して、手足、腰のツボを用いた鍼施術が有効であった。身体症状の改善とともに精神的な不調も緩和された。特筆すべき点として、初回から即効性のある改善が得られ、その後も段階的な回復が確認された。6回の施術で大幅な改善に至り、現在は予防的な健康管理として定期的な施術を継続している。本症例は、精神的な不調と身体症状が混在する場合における鍼施術の有効性を示す一例といえる。