NEW鼻水や詰まりのない嗅覚障害
症状

アレルギー性鼻炎と蓄膿症の疑いにより耳鼻科での治療を受けた後、鼻水や鼻づまりは改善したものの、嗅覚が完全に失われた状態が続いていた。鼻腔内の症状は落ち着いているにもかかわらず、匂いを全く感じられない状態であり、食事の味わいも感じられないなど、日常生活に支障をきたしていた。
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来院者
男性
40 代
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期間
2024年12月 ~ 2025年1月
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頻度
週1回程度
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通院回数
6回
施術と経過
初診時、背部の筋緊張と呼吸のしづらさが認められた。肩部、背部、手のツボへの施術を行ったが、初回は明確な変化は見られなかった。その後、下腹部の冷えに着目し、足のツボを中心とした施術に転換したところ、徐々に改善の兆しが現れ始めた。4回目以降の施術では、一時的に嗅覚が戻る現象が観察された。その後、インフルエンザに罹患し、鼻水が大量に出た後、症状が好転。6回目の施術前には嗅覚が完全に回復したとの報告を受けた。
使用したツボ
まとめ
本症例では、通常の耳鼻科治療では改善が見られなかった嗅覚障害に対し、全身的なアプローチを試みた。特に下腹部の冷えに着目し、足のツボを用いた施術を行ったことで、徐々に改善が見られた点が特徴的である。また、インフルエンザ罹患による大量の鼻水の排出が、結果として症状改善の契機となった可能性が示唆された。嗅覚障害に対する鍼灸施術では、局所的なアプローチだけでなく、全身状態の改善を図ることの重要性が示された症例である。