NEW発症7週間後の突発性難聴に対する鍼施術での著明な改善
症状
突発性難聴の疑いにより、右耳の聴力低下と耳鳴りを主訴として来院している。発症は来院7週間前で、突然始まったものである。発症直後に医療機関を受診し、入院してステロイド点滴治療を受け、ある程度まで回復がみられていた。しかし、その後の回復が停滞したため、鍼灸による施術を希望して来院している。初診時の状態として、右側からの音が聞こえづらく、特に人混みでの会話に支障があり、「キーン」という耳鳴りも持続していた。また、眼精疲労や顎関節症の疑い、右耳のつまり感も伴っていた。
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来院者
女性
30 代
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期間
2024年9月 ~ 2024年11月
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頻度
週1回程度
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通院回数
4回
施術と経過
初診時の所見では、右側の首筋の側面部に顕著な緊張が認められた。施術は右側の首、右の肩甲骨、右手、左足のツボに鍼をした。初回施術直後から聴力の改善を自覚し、2回目の施術後には聴力検査で回復が確認されている。施術を重ねるごとに聴力は改善し、耳鳴りも軽減傾向を示した。4回の施術で左右の聴力が同等になるまでに回復を果たしている。高音域の耳鳴りは若干残存しているものの、顕著な軽減が得られている。
データ
使用したツボ
まとめ
発症から7週間が経過し、通常では予後が懸念される時期であったにもかかわらず、鍼施術開始とともに症状の改善が認められた点が特徴的である。頸部の緊張緩和に焦点を当てた施術方針が奏功し、4回という比較的短期間で聴力の著明な回復が得られている。本事例は、突発性難聴の疑いに対する鍼施術の有効性を示唆する症例として興味深い結果となっている。耳鳴りに関しては完全な消失には至っていないものの、症状の軽減が得られており、聴覚障害に対する鍼施術の可能性を示している。