PMS・PMDDって何?鍼灸という選択はどう?
PMS・PMDDを知る、考える
突然ですがクイズです。
180万人。
この数字なんだと思いますか?
正解はPMS、PMDDの自覚がありながらも未治療の日本人女性の数です。
なんと20人に1人にあたります。
さらに。
1兆円!
この数字は何か分かりますでしょうか?
正解はPMS、PMDDによる生産性の低下が起きた結果、年間の経済的損失の額です。
なんと1兆円です。
つまり、PMSやPMDDによって休業せざるおえない人もいることが背景にあります。
このようにPMS、PMDD(最近では合わせてPMDsと呼ぶ)はある種社会問題とも言えるかもしれません。
PMS・PMDDとは?
生理前の身体面、心の不調を“月経前症候群=PMS”と呼びます。
身体的な症状として乳房痛、腹部膨満感、頭痛、むくみなど、心の不調として抑うつ、易怒(怒りやすい)、苛立つ、不安感などが挙げられます。
その中でも情緒不安定、苛立ち、抑うつなど社会生活に支障をきたすほど精神症状が強い場合“月経前不快気分障害=PMDD”が疑われます。
境界が明確ではないため、重度のPMSをPMDDと呼ぶ方もいます。
大人だけではなく、重症化している例は高校生にもみられます。
PMS・PMDDの歴史
現代病のようなイメージを持たれる人も多いです。
「昔はそんなことなかった、今の子は・・・」なんて声も聞こえてくるようなこないような。
しかし、なんと。
紀元前5世紀のヒポクラテスの書や紀元後2世紀の古典である傷寒論にもPMS、PMDDについての話題が実際にありました。
昔から存在するお悩みだったんですね。
PMS・PMDDの原因
これに関しては全日本鍼灸学会神戸大会にて武田卓先生の講演に参加した際に取り上げられていました。
この原因の項目はその時の内容をまとめました。
原因はよくわかっていない。
これが2023年現在、最新の情報になります。
その中でも興味深いのがPMS、PMDDにおいてホルモンバランスの異常は伴わない。
つまり俗にいう女性ホルモンの乱れというのはPMS、PMDDの原因ではないと発表されました。
そんな中でも4つほど原因ではないかと考えられています。
①ホルモンの変動
黄体ホルモンが増えるタイミングで体調が崩れる人が多いため、内部環境の変化についてこれない時に症状がきつくなるのではないかとされています。
②セロトニンの関与
うつ状態を誘導する黄体ホルモンの感受性が高いためか?
③生活習慣
過食や偏食、運動不足、睡眠不足など
④ストレス
原因は明らかではないもののこのストレスに関しては間違いなく関係性が深いとされています。例えば、学校生活や職場の人間関係もそれに含まれるでしょう。
PMS、PMDDに対する現代的な治療
現在では軽症の場合は漢方薬が使われます。
ファーストチョイスとして漢方を用いられる医師も多いです。
加味逍遙散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)が代表的に用いられます。
重度になればSSRIというセロトニンを増やす薬、月経そのものを起こさせないピルが用いられます。
最近では黄体ホルモンを子宮内に持続的に放出するミレーナが用いられる例もあります。
鍼灸師はこうアプローチする
基本的に代替医療、生活指導でもかなり改善すると考えられており、世界中でも代替医療が行われています。
鍼灸師は血流の悪さの改善とストレスケアによってPMS、PMDDを緩和、改善に導きます。
PMS、PMDDの直接的な原因がわからないながらもPMS、PMDDで悩まれている方の多くは瘀血(おけつ)と呼ばれる鬱血、血流の悪さを抱えています。
イメージ図:下腹部に緊張がみられる。
鍼灸治療は血流改善のいわばエースです。
鍼灸師は身体の状態を全体的に診て、それに適したツボに鍼をします。
筋緊張は緩和し、血流も良くなります。
この瘀血も同様に下腹部の緊張を緩解し、血流を良くすることでPMS、PMDD改善に導いていくことが期待できます。
また、瘀血に加え、ストレスが原因のひとつに挙げられます。
鍼灸の刺激自体が脳の血流を良くし、不安感の抑制、ストレスの緩和に導きます。
鍼灸師は医師よりも対話、カウンセリングに時間をかけることができるためストレスケアが他の医療職に比べしやすいのも特徴です。
このように鍼灸師は筋緊張の緩和によって血流を改善し、対話カウンセリングを含めたアプローチよってPMS・PMDDを緩和、改善していきます。
鍼灸治療を行いPMS、PMDDが楽になった例も多くあります。
現在180万人の女性が未治療なので多くの人にその価値が伝わり、人生を豊かに過ごせる人が増えれば幸いです。
提供:フルミチ鍼灸院