石灰沈着性腱板炎
症状
半年前から左腕が痛み出し、2週間前に腕が挙がらなくなった。
整形外科でMRIとレントゲンの検査を受けて出た診断が「石灰沈着性腱板炎」だった。
仕事中に「あっ、痛たた。あっ、痛たた。」と、口をついて漏らしていたことを気に病んだ同僚が、「鍼灸がいいみたいだよ」と教えてくれた。
初めて鍼を受けるという不安からインターネットで検索すると、五十肩の症例に行き当たり期待できるかもと思い来院にいたった。
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来院者
女性
50 代
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期間
2018年11月 ~ 2018年11月
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頻度
週1回程度
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通院回数
5回
施術と経過
【1回目の施術】
この症状の性質を知るため動作チェックを行うと、前方から腕を上げる(屈曲)動作が約60度までしか上がっていなかった。
痛みを訴える肩から調べたところ、この動作に関係する股関節に筋緊張がみつかった。
この筋緊張を緩めるため腰にあるツボへ鍼を行うと、約70度位まで腕を上げることが出来るようになった。
腕を上げる際に肘の痛みを訴えたため調べると、背中の筋肉に緊張がみつかり、手と手の甲に鍼を行うと腕を上げる動作で感じていた痛みは消失した。
【2~3回目の施術】
1回目と同様の施術を行った。
股関節と肩関節の動きに関係する、背中の筋緊張が緩み始めていたため、2本の鍼を施術に加えてみた。
すると、2回目終了時点で約70度だった挙上範囲が100度近くまで広がった。
【4回目の施術】
前回の施術の翌日から、さらに挙上範囲が広がっていた。
3回目と同じ施術を行ったところ、楽に腕を耳元まで上げることができるようになった。
【5回目の施術】
4回目の施術後、日常生活に支障がなくなっていた。
念のため、予防で同じ施術を行い、肩関節の屈曲動作に問題がないことを確認して、今回の施術は終了した。
使用したツボ
まとめ
肩関節に痛みがある場合、その近辺に原因を求めがち。
今回は痛みの原因を「石灰沈着」としていたが、関節の動きが取り戻されるに連れ痛みは徐々に消失していった。
この経過から、肩周辺の筋肉に動作不良によって老廃物が滞っていたとも考えられ、「石灰沈着」だけが肩関節の痛みの原因と断定するには根拠が足りないということが解る。
動きの単位を調べ、動作障害を引き起こしている筋肉を見極めたことで改善できた症例だった。