NEW前屈時に痛む腰痛と上肢の緊張
症状

食品工場での重量物運搬作業中に発症した腰痛で、腰部全体の特に右側の痛みを訴えている。発症から1週間経過し、前屈動作や寝返り時に痛みが増強する。静止時の痛みは軽度であるが、仕事での重量物取り扱いに支障をきたしている。マッサージや整骨院での治療を受けるも改善が見られず、右肩甲骨内側部にも圧痛が認められる状態である。
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来院者
男性
40 代
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期間
2025年4月 ~ 2025年4月
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頻度
週2~3回
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通院回数
2回
施術と経過
初診時、前屈動作時と体幹回旋時に痛みが出現し、特に仙骨部への放散痛が確認された。胸椎3、4番および肩甲骨内側部の緊張と、前腕から手首にかけての過緊張が認められた。肩甲骨内側部の肋骨上の筋緊張に対して鍼をし、さらに手足の緊張部位への施術を行った。初回施術後、体幹回旋時の痛みは軽減したものの、前屈時の違和感は残存した。2回目の施術では、特に緊張の強かった胸椎3番周囲を中心に鍼をし、前腕部の緊張緩和を図った結果、動作がスムーズになり症状はほぼ消失した。
使用したツボ
まとめ
重量物運搬作業による腰痛に対して、局所の施術だけでなく、胸椎や上肢の緊張にも着目した包括的なアプローチを行った。特に胸椎3、4番の棘間のつまりに対する施術が著効を示し、2回の施術で症状の改善が得られた。作業姿勢や動作に関連した全身的な筋緊張の評価と施術が、早期改善につながったと考えられる。職業性腰痛では、症状の発現部位だけでなく、作業動作に関わる身体部位全体への施術が重要であることが示唆された。
担当スタッフ
宮島 広介