「ボー」という耳鳴りと強いめまいを伴う難聴
症状
朝起きた時に、右耳が全く聞こえなくなり、耳が無くなったような感覚になった。耳鼻科で突発性難聴と診断されステロイドとビタミン剤を処方され服用する。翌日、強いめまいに襲われ、目をつむっていてもグルグルと回った感覚になる。病院へ入院をし、ブロック注射と高気圧酸素カプセル治療を始める。
1週間後の検査では、前より聞こえている感じはあるが、検査結果では変化がみられない。綿棒で耳の奥をかくとゴソゴソした感じがあり、「ボー」という耳鳴りが始まった。
他に何か治療はないかと入院中に探し、ネットで当院のことを知る。2週間の入院を終え退院から3日後、当院に来院。頭を急に動かしたり、目線を変える動きをすると、フラフラとする。「キーン」という弱めの耳鳴りと耳閉感がある。右耳はほとんど聞こえていない。左耳も若干の聴力の低下がみられる。
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来院者
30 代
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期間
2016年9月
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頻度
週2~3回
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通院回数
16回~20回
施術と経過
頸部の触診を行うと、耳の血流に関係するコリをみつけた。背中と手にあるツボに鍼をすると、耳鳴り(キーン)が「マイルドになった」との感想を得た。3回目の治療時、電話を耳に近づけると「ゴゴ」と音がし、少し音が聞こえているとのこと。病院で検査を行うと、全体的に音が聞こえるようになっており、特に低音域の著しい改善がみられた。女性と子供の声は「キーン」と頭に響き、音として認識できない。9回目の治療で、こもった感じはあるものの、右耳で電話することができ、女性の声も聞き取りやすくなった。その後、耳鳴り(サー)が続き変化の兆しが少なくなるが、治療を重ねていく内に子供の声が言葉として聞こえるようになった。「満足のいく結果を得られた。」とのことで、計17回の治療で終了した。
まとめ
退院後から素早く治療を開始できたこともあり、順調に回復していき音を聞き取れるようになっていった。途中、症状の改善を実感できない時期も続いた。少しでも聴力を取り戻したいというご本人の意思から根気強く治療を受けて頂いたので、子供の声(高い音)を聞き取れるまで改善することができた。左耳は完全に聴力を取り戻した。最後の聴力検査で右耳に改善傾向がみられたが、治療経過を踏まえると、回復可能な状態に近づいたと言える。ご本人も、無音の状態だった聴力が、難は残るものの、音を取り戻せたことに満足していた。ただ、「このまま治療を継続していたら、あと少し回復したかもしれない」と心に残るものがある。