味覚障害を伴う顔面神経麻痺
症状
来院の3か月前に風邪のような症状が何日か続いた後、顔の右側が動かなくなった。看護士であるため務めている職場の病院で受診したところそのまま入院となり1週間ステロイドの点滴による治療を行った。その後も投薬による治療を続けたが発症した時に比べると症状は軽減してはいるが、それほどの変化は感じなかった。知り合いに顔面神経麻痺の治療には鍼治療が効くということを聞いたので、医師に確認すると医師も同意した為、同居する娘さんにインターネットで検索してもらい当院のサイトにたどり着き来院。初回来院時、麻痺側の右側はまばたきで目が閉じ切らず、口角もやや下がっていた。味覚も右側でモノを噛むと異常を感じていた。
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来院者
女性
60 代
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期間
2020年1月 ~ 2020年3月
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頻度
週1回程度
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通院回数
11回~15回
施術と経過
顔面神経麻痺と関係の深い首や肩、背中の状態を確認すると、首と背中に強い筋肉の緊張が見られた。首の筋肉の緊張を緩める手にあるツボに鍼をすると首の前側の筋肉が緩んだことが確認できた。肩甲骨の内側に強い反応があり、顎の動きにも異常が見られたので腰にあるツボに鍼をして確認すると顎の動きが動かしやすくなった。首回り、肩甲骨周りを緩めた後、麻痺側の顔が軽くなり血流が良くなっている感じがするとのこと。同様の施術を1週間に1回の頻度で繰り返したところ、5回目の施術時には味覚の違和感はほとんど感じなくなった。8回目の施術時には目もしっかりと閉じるようになり、まばたきのスピードも左右差がなくなった。12回目の施術時には最後まで残っていた口元の違和感も消えたので施術を終了とした。
使用したツボ
まとめ
顔面神経麻痺の症状と言えば表情筋が麻痺することで顔の動きなくなることが代表的だが、味覚の異常を訴えるもある。これは顔面神経の一部が味覚を司っているためであるが、筋肉の緊張により圧迫されている顔面神経が正常に機能し始めれば表情筋の動きの回復とともにしっかりと症状を改善することができる。
担当スタッフ
渡辺拓朗