NEW風邪後の聴力低下とめまいに対する鍼灸施術
症状

風邪罹患後から左耳の聴力低下と耳鳴りが出現し、特に低音域の聴取が困難となった。また、寝返りや起立時にめまいを伴うようになった。複数人での会話時に話者の特定が困難で、にぎやかな場所での会話に支障をきたしていた。耳鼻科でメニエール病の疑いと診断され投薬を受けるも改善せず、他の鍼灸院での施術でも効果を実感できなかった。症状発症から3~4週間が経過し、人との接触に不安を感じる状態であった。
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来院者
女性
30 代
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期間
2025年7月 ~ 2025年8月
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頻度
週2~3回
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通院回数
6回
施術と経過
初診時、左側頚部から肩部にかけての著明な緊張と、鼻閉感および咽喉部違和感を確認した。手部、足部、臀部のツボへの施術で頚肩部の緊張緩和を図り、背部のツボには鼻閉感改善を目的とした鍼を行った。初回施術直後から頚肩部の緊張と耳の違和感が軽減し、聴覚症状にも改善がみられた。2回目以降は顎周辺部の緊張緩和を加えた施術を継続し、聴力と平衡感覚は徐々に改善。計6回の施術で症状は大幅に改善した。施術期間中、症状の再燃や新たな症状の出現は認められなかった。
使用したツボ
まとめ
風邪罹患後に発症したメニエール病の疑いに対し、頚部から肩部の緊張緩和を主軸とした施術アプローチが有効であった。特に初回施術での即時的な効果が特徴的で、その後の継続的な施術により段階的な改善が得られた。本症例から、耳症状に対する施術では、頚肩部の緊張状態の改善が重要な要素となることが示唆された。また、風邪罹患後の耳症状発症例が多い臨床的特徴も注目すべき点である。