NEW緊張時の臍周囲の痛みと下痢が続く過敏性腸症候群の1症例
症状

1年半前から学校の朝礼時に腹痛および下痢を発症していた。
痛みは臍の周囲に感じられ、車や電車、朝礼など逃げ場がない状況で増悪する傾向があった。
日常生活ではお腹のことが気になり、心から楽しむことができない状態が続いていた。
医療機関では過敏性腸症候群の疑いと診断されており、腹痛に伴う下痢が主な症状であった。
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来院者
10 代
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期間
2025年3月 ~ 2025年5月
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頻度
週1回程度
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通院回数
10回
施術と経過
初診時の触診では季肋部から下腹部にかけて筋緊張が確認された。
背部や下腿のツボに鍼をし、臍に箱灸を行った。
初回施術後、腹部の筋緊張は緩和されたものの、症例者自身の実感は乏しかった。
2回目以降は腹部の筋緊張を緩解させることを目的に施術を継続。
施術を重ねるごとに自覚症状が改善し、便の状態は泥状便から軟便を経てバナナ状へと変化。下痢や腹痛の回数も減少した。
胃腸症状の重症度を評価するGSRSスコアは以下のように変化した:初回47、2回目52、3回目50、4回目50、5回目36、6回目34、7回目28、8回目27、9回目22、10回目17。
5回目以降に症状の変化が顕著となり、10回の施術で日常生活に支障がないレベルに達した。
施術期間中に症状の再燃や新たな症状の出現はなく、大きく崩れることはなかった
データ
使用したツボ
まとめ
症例者は1年半にわたり腹痛と下痢に悩まされていたが、背部や下腿のツボへの鍼と臍への箱灸を組み合わせた施術により、症状が大幅に改善した。
特に5回目以降に便の状態や腹痛の頻度が改善し、GSRSスコアの変化からも症状の軽減が客観的に確認された。
10回の施術で日常生活に支障がない状態となり、症例者の生活の質が向上した。
本症例では腹部の筋緊張を緩和する施術が有効であり、過敏性腸症候群の疑いに対する鍼灸の可能性を示唆する結果となった
担当スタッフ
杉山英照