耳鳴り、耳のつまりをともなう突発性難聴
症状
2か月ほど前から左耳に水が入ったような違和感を覚えた。
やがて症状が収まったが、1か月ほど前に水の入った感じがずっと続くようになり、耳鳴りが出はじめた。耳鼻科を受診したところ、「突発性難聴」であると告げられた。聴力検査の結果、左耳の聴力が右耳よりも低くなっている。
聞こえにくいのは主に左耳だが、右耳にも若干の聞こえづらさがある。午前中がとくに症状が強い。
耳鳴りは「キーン」という音が四六時中聞こえている。
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来院者
女性
30 代
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期間
2020年9月 ~ 2021年4月
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頻度
週2~3回
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通院回数
21回以上
施術と経過
肩、首に顕著な緊張がみられたため、これを緩和させるため、臀部のツボに鍼をした。
7診まで顕著な変化がみられなかったが、8診から耳鳴りが小さくなっていることを感じた。
その後、耳の詰まりがあるときとないときが交互に現れ、詰まりがないときは聞こえ方も改善する。
当初、週に2回のペースであったのを、症状の緩和とともに週に1回のペースにし、経過を観察しつつ、2週間に1回、3週間に1回というペースにしていった。
耳鳴り、詰まりがほとんどなくなった段階で、最終的に診療の間隔を1か月空けてみたところ、ときどき耳の詰まりが出る程度で生活上の問題を感じなくなったため、終了とした。
使用したツボ
まとめ
施術を開始した当初は変化が出なかった例である。
耳の症状は時間との勝負という面があるため、患者も短期的に効果が出なければ焦ることが多い。主訴の改善にはある程度時間を要していたが、緊張の非常に強かった首、肩は次第に柔らかさが出ていたため、患者本人の意思を確認しつつ、施術を継続した。
主訴に注目することも重要であるが、鍼によって起こる身体の変化に着目していれば、現状を冷静に伝えることができる。それにより、今起こっている身体の変化が主訴の変化につながっていくという認識を患者との間で共有することが可能になる。