頭痛について①(緊急を要する頭痛)
生涯で男性の90%、女性の95%が頭痛を経験すると言われています。その原因は、発熱、筋緊張、二日酔い、片頭痛などさまざまです。
時には命に関わる重篤な疾患が隠れている場合があるので、私たち鍼灸師は、鍼灸が目の前の患者さんにとって一番の選択であるのかどうかも合わせて診ていく必要があります。
私たち鍼灸師が施術と同じくらい大切にしていること
慢性頭痛に対して鍼灸は大変効果があると、日々の臨床の中で実感していますが、施術にはいる前に、確認しなくてはならないことがあります。
それは、「緊急性を要する頭痛かどうか?」ということです。時には、医師の受診を優先したほうがいい場合もあります。
例をあげると
【緊急性がある頭痛】
1.脳内出血…神経症状(しびれ、脱力、手足の重さなど)を伴う
2.くも膜下出血…
吐き気、嘔吐を伴う突発性の激烈な頭痛。稀に軽傷では一般的な片頭痛と鑑別が難しいことがある。
3.急性硬膜下血腫…
頭部外傷後数時間~3日以内におこる。突然吐く。頭部外傷を覚えていない事もあるので注意。
4.髄膜炎…発熱を伴う。風邪症状と間違われることもある。
5.急性緑内障…目の充血があり、目の痛みがある。まぶしさに敏感。
【緊急性はないが放置すると危険】
1.脳腫瘍…起床時の強い頭痛、長期にわたり、階段状に症状が悪化。
2.慢性化硬膜下血腫…
静脈の出血であり、ゆっくりと進行。頭部外傷後1週間~3ヶ月後に症状がでることもある。
などがあげられます。
特徴的な随伴症状があれば、脳神経外科の受診を勧めます。また緊急性の頭痛であっても症状が教科書どおりに現れないこともあるので、そのような場合にも見落とさないよう、一般的な慢性頭痛とは「なにかどこか違う…」という感覚を私たちは大切にします。
そもそも、急性の頭痛に、私たち開業鍼灸師が遭遇するケースはほとんどありませんが、国家資格を有した施術家として、鑑別を行うことが施術の技術以前に求められます。
そのために、鍼灸師は国家試験を受ける前に厚労省管轄の鍼灸学校、または文科省認定の大学で最低3年間の医学教育をうけています。
このような場合は要注意!
これまでいくつかの、緊急を要する頭痛について例を上げましたが、特徴的な症状を自覚しない場合はいくらでも起こりえます。
なので、ここで一つ思えておいてほしいことは、
- 今までにない激し頭痛
- 繰り返し起こり、階段状に悪化する
- 突然の嘔吐
などがあった場合は、すぐに脳神経外科を受診してください。
次回は、私たち鍼灸師が得意とする慢性頭痛(機能性頭痛)についてまとめたいと思います。
提供:ゐろは鍼漢院