NEW清掃作業で繰り返す動作による背部と坐骨上部の痛み
症状
50代女性が背部痛と臀部痛を主訴に来院した。清掃系の仕事に従事しており、気を遣いながらの掃除作業による背中への負担が強く、痛みが出現するようになった。また、仕事中に立ったり座ったりの繰り返しが多く、しゃがんだ際に臀部にも痛みが生じるようになった。背部痛は背中の下部に、臀部痛は坐骨直上あたりに認められた。症状は仕事の休日には比較的軽減するが、仕事の日になると痛みが出現する傾向があった。仕事中は痛みの影響で姿勢が取りづらく、作業に支障をきたしていた。初診時の触診では背部の広範囲に圧痛が認められ、筋緊張も触知された。後屈動作時に背部痛が誘発され、屈伸動作時には臀部痛が出現した。股関節の硬さも認められた。
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来院者
女性
50 代
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期間
2025年9月 ~ 2025年10月
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頻度
週1回程度
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通院回数
3回
施術と経過
初回施術では、股関節の硬さを改善するために膝のツボに、背中全体の緊張を緩和するために仙骨部のツボに、後屈可動域の改善と腰部の緊張緩和を目的として膝裏のツボに施術を行った。初回施術後、屈伸時の臀部痛は減少し、背部の違和感もやや軽減した。しかし、筋緊張が完全には取りきれなかったため、継続的な施術が必要と判断した。2回目以降も初回と同様の方針で、その時の状態に合わせてツボを選択し、背部と臀部の緊張を段階的に緩和していった。施術を重ねるごとに症状は改善し、全3回の施術により、仕事中の痛みも減少し、生活に支障がない範囲まで回復した。施術期間中に症状の再燃や新たな症状の出現は認められなかった。
使用したツボ
まとめ
清掃業務による反復的な動作負荷が背部と臀部の筋緊張を引き起こし、疼痛を生じさせていた症例である。股関節の可動域制限が臀部痛に、腰部の後屈制限が背部痛にそれぞれ関連していたと考えられる。膝のツボによる股関節へのアプローチ、仙骨部のツボによる背部全体への施術、膝裏のツボによる腰部と後屈可動域への施術を組み合わせることで、段階的に筋緊張を緩和し、可動域を改善することができた。3回の施術で仕事に支障のないレベルまで症状が改善し、職業性の筋骨格系障害に対する鍼施術の有効性が示された。今後は作業姿勢の工夫や定期的なセルフケアにより、症状の再発予防が期待される。



















