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痛みを捉える~腰痛から~

痛みを一緒に考える

小学生だった自分と大人になった自分を比べると身体の硬さは一目瞭然であります。あの頃何も考えずに出来た柔軟体操も今では“ヨッ”と声の勢いに任せ、顔を真っ赤にして無理に伸ばそうとしている姿が思い浮かびます。

腰痛患者さんのお話をきくと『体が硬くなって…』と話をする方もいることからも納得できます。今回は腰痛を例にして痛みを考えていきます。

痛みと硬さ

腰痛患者さんに前屈してもらいます。

前屈していくと急に“イテテッ”となる角度があります。これは、違う側面から見ると“痛い”から止めるとも捉えることが出来ます。もし、あの動きが痛くなければ指先が床までついたと思います。

腰痛もちの方は、痛みを感じやすいことが経験的に言えます。

閾値(いきち)

同じ辛口カレーを食べて辛いと感じる人と辛くないと感じる人がいるように私たちの感覚には“閾値(ボーダーライン)”があります。

腰痛もちの人は痛み閾値が低い(痛みを感じやすいという事)ことが考えられます。

  • 硬いから痛いのか?
  • 痛いから硬いのか?
  • もともと痛みに弱いのか?…

そのような事を考えてしまいます。

痛みと恐怖

痛みがあると恐怖を感じます。恐怖があると痛み閾値を下げると言われています。痛みを感じやすくなるとさらに筋肉が硬くなります。硬くなるとさらに恐怖が強くなります。これを繰り返すと“恐怖の悪循環”に陥ってしまいます。

小さい頃に友達と行ったお化け屋敷の記憶があります。
間違っても欠伸を出来ない極度の緊張状態で鳥肌が立っていました。

“ここの角を曲がったら何があるのだろう?”
“もしかしたら、後ろからも襲われる!?”と頭が考えているときに

友達『ねぇ、ねぇ…』少し背中に触れられただけでも過剰に反応してしまいます。
痛みを感覚神経が司ることを考えても恐怖との関連は深いと言えます。

痛みとストレス

真面目な人ほど腰痛になりやすいと言うデータがあります。あるストレスを真に受け止めてしまい発散させる場所がなく凝り固まってしまいまうためと思います。
漫画の世界になるかもしれませんが不真面目な人はフニャとしている印象があります。良く言えば、ストレスを受けても流せる力があります。

痛みと動き

体が硬いからと筋肉を柔らかくする目的でストレッチします。けど“痛み”に弱く伸ばすことが出来ない。そして、硬くなる…これでは八方塞がりであります。

例として、前屈したとき、指先が床に届かないとします。このとき、〇〇しましょう!では解決できないのも現状であります。前屈を例としてもみるべきポイント2つがあります。

①まずは大腿部後面が硬くて、指先がついていないパターン。
(⇒膝が曲がっていませんか?)

②もう一つは、腰がエビのようにカーブしていないパターン。

(⇒腰がストレートになっていませんか?)

このようにどこが過剰に動き、どこが動きづらく痛みや動作制限を起こしているかが重要になります。

患者さんを理解し、鍼灸師の視点で痛みと向き合う

私たちが診ているのは患者さんであります。その中に“痛み”があります。

なぜ痛むのか?どこが原因となっているのか?

最初に書いてもらう問診票の項目にも意味があります。年齢から始まり、既往歴、どのような場面で痛むのか、便秘はないか…

あらゆる情報をいただいた上で整理し身体のトラブルと向き合います。

鍼灸師に限らず、セラピストと言う枠組みで考えると機械・機器にはない“ぬくもり”があります。
“痛いの痛いの飛んでいけー!!”に象徴されるように『手当て』により、肉体的精神的な緊張から解放されつつ育ってきました。

話は逸れますがあのサンドアートでさえもオートメーション化された時代ですがアーティストならではきめ細かなタッチや繊細な造りには敵わないと思っています。

『手当て』の中で鍼灸師は手から情報を収集して整理をしていきます。どこが緊張して、不調状態を作っているのか患者さんと一緒に考えていきます。鍼技術も様々なですが私たち整動協会員には整動鍼と言う武器があります。

目指すところは動ける身体作りであり、自然体な状態です。

生活は便利になり、依存することで様々な疾病がメディアでも取り上げられるようになりました。『スマホ頸』『猫背』『ストレートネック』など…

振りかえると効率の良い身体の使い方を忘れてしまい様々な負荷を身体にかけてしまっています。動きを記憶しているツボに鍼をすることで身体が賦活し身体のコリや痛みが減り、日常生活も楽になります。

小さなツボを捉えるからこそ大きな変化を期待できる鍼灸で一緒に身体について向き合っていければと思います。