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飲みたくない頭痛薬をかしこく卒業する方法

飲みたくない頭痛薬をかしこく卒業する方法

頭痛薬をやめる前に医師に相談を

当院には「頭痛薬を飲み続けるのは嫌なので、使わずに治したい」という方がやってきます。薬では根本的に治らないのではないか…という不安をお持ちのようです。

鍼灸院といえども、頭痛薬に関して無頓着ではいられません。むしろ、薬に詳しくなっておく必要があります。とはいえ、知識をため込んでも、薬の飲み方を指導したり指示することはしていません。薬の減らしたり辞めたりするには、必ず担当の医師に相談するようにお願いしています。

具体的には、「担当医にその時の症状をできるだけ詳しく伝えるようにしてください。」と言っています。薬がどんどん増えるのが心配な方には、「できれば薬を減らしたい」という気持ちを合わせて伝えるようにアドバイスします。必要だと判断された薬なら、患者さんが「減らしたい」と言っても、減らすようなことはしませんが、中にはそういう気持ちをくみとって、処方を見直してもらえる場合があります。

患者さんの中には、「薬を出しすぎではないのか」と医師の処方に不信感を抱いている場合もあります。そんな時はセカンドオピニオンとして別の病院に行ってみることをおすすめしています。

本来は、私たち鍼灸師もカルテや検査データなどを共有できるのが望ましいのですが、現在の医療システムの中ではなかなか難しいです。

頭痛に対する鍼灸の標準治療は存在しない

そもそも、「頭痛に鍼灸が効果がある」という情報が医師の常識になっていません。合わせて鍼灸師側も、頭痛の標準治療が定まっていないため、鍼灸院によって行う治療はまちまちです。使うツボも違いますし、通院パターンや料金も違います。

外から見たら、どの鍼灸院に行けば最適な頭痛治療になるのかわからないと思います。当院は頭痛を専門のひとつとして位置づけていますが、知識や技術よりも大事にしていることがあります。それは、公平な目を持つことです。鍼灸の効果を客観視しようと思う姿勢が何より重要だと考えます。

「専門」を掲げると、患者さんは最後の砦だと思ってしまったり、過剰な期待をしてしまうことがあります。いくら専門でも、手に負えないような時もありますし、多くの回数を要してしまう場合があります。だから、どんな時でも患者さんを判断する能力を奪って盲目的にさせてはいけないのです。

通院していただいている期間は、患者さんから代金を頂いているだけでなく、患者さんから時間も頂いていることを意識するようにしています。

頭痛の原因となる首や肩の凝り

さて、ここから当院でできることについてお話していきましょう。当院が頭痛の痛みの原因として着目しているのが、首や肩のコリです。こうしたコリが取れると、長年悩んでいた頭痛があっさり消えてしまうことがあります。ですので、頭痛に関わるコリを探すことが第一歩になります。ただし、直接そのコリに鍼をすることはほとんどありません。なぜなら、直後に良くなっても後に悪化してしまうことがあるからです。

首や肩に鍼をする方法でもコリは取れます。でも、すぐにまたコリが戻ってきてしまうのです。なぜなら、首や肩のコリをつくっている原因が残っているからです。

たとえば、クルマのタイヤの一つに十分な空気が入っていなかったらどうでしょうか。クルマはフラついてまっすぐ走りません。なんとか、まっすぐ走らせようと思えばハンドルをこまめに修正しなければなりません。当然疲れてしまいますよね。しだいに腕が疲労して痛みが出てしまいます。腕を何度治療したとしても、タイヤの空気圧を適正に直さない限り腕はいつまでも治りません。

これと同じで、身体のどこかで不都合が生じていると、そこを埋め合わせるために別のところががんばるのです。たとえば、頭は重いので首の筋肉だけでは支えられません。ですので、背中の筋肉も使っています。肩甲骨周辺の筋肉が凝り固まった動かなくなると、首だけで頭を支えようとするので、首の筋肉に負担がかかりコリが生まれます。背中も腰やおしりの筋肉と連動しています。

頭痛の原因となる肩こり

薬に期待できないこと

残念ながら、薬では体の緊張を取ることはできません。筋肉を弛緩させる薬もありますが、コリに集中して作用するわけではありません。しかも、コリにはひとりひとり個性がありますので、どうしても個別に対応していく必要があります。

この個別対応こそ、鍼治療の最大の魅力です。薬を飲んでも治らなかった頭痛が消える可能性はここから生まれます。ただし、いくら鍼灸が頭痛に有効だと言っても、1回で完治できるほど簡単ではありません。コリは体の癖ですから、しつこいものがあります。10年以上頭痛に悩まされている方は10年の分の癖を解消させなければなりません。

頭痛薬のかしこい減らし方

頭痛に関係する首や肩の凝りが取れてくると、頭痛は和らいできます。痛みのピークが下がったり、回数が減ったりしてきます。だからといって、すぐに薬をやめるわけにはいきません。繰り返しになりますが、医師の判断が必要です。

どれくらい頭痛が軽くなったのか、具体的に医師に告げて下さい。具体的であればあるほどよいです。軽くなったと訴えても「しばらくは同じ薬を使って様子をみていきましょう」と言われるかもしれません。基本的には指示に従ってほしいです。

そのあと、鍼治療が功を奏して頭痛が完全になくなったとしましょう。そうしたら、再び医師に伝えます。2回連続で痛みが大幅に軽減したら、減らしてもらえるかもしれません。それでも「飲んでおいた方がよいです」と言われたら、その理由を聞いてみてください。中には、痛みが消えても飲み続けておいた方がよい薬もあるからです。自己判断はしないでください。

症状が軽減し、理由がわからないまま薬を出され続ける場合は、お薬手帳を持って別の病院に行ってみてください。

もっとも時間がかかるのは、薬物乱用頭痛

「薬物乱用頭痛」という、いわゆる薬の飲み過ぎによって悪化してしまった頭痛です。私たちが現場でもっとも苦労するのがこのタイプです。頭痛の原因が首や肩のコリだけではないからです。首や肩のコリを取りながら、長期的な計画で薬を減らしていかないと治りません。本来は医師との連携が必要ですが、まだ、そういう仕組みが整っていません。とはいえ、可能性がある分野なので当院ではご要望があれば対応しています。