NEW荷重時に悪化する左股関節の痛み
症状

左股関節痛を主訴として来院。マッサージ院やヨガ教室での施術では改善が見られなかった。左股関節痛のほか腰から左大腿部外側にかけてのつっぱり感も伴い、荷重時、しゃがんだ時、動き始めに増悪する傾向にあった。初診時の所見では左股関節の屈曲および外旋時に可動域制限と疼痛が確認され、左腹部と左大腿外側に緊張が認められた。歩行状態は左下肢内旋位出ないと立位保持できず、破行が見られた。
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来院者
女性
50 代
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期間
2022年10月 ~ 2023年2月
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頻度
月3回程度
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通院回数
11回~15回
施術と経過
初回施術では、左下腿部と肘のツボに鍼をした。その結果、荷重時の疼痛に軽度の改善が見られた。2回目施術時の経過から病院受診を勧め、変形性股関節症の疑いと診断された。以降は股関節の可動域改善を主目的とした施術を継続的に実施。施術を重ねるごとに股関節の可動域制限と疼痛は徐々に改善傾向を示した。仕事や歩行量が増加した際には一時的な症状の再燃が見られたものの、その程度は軽度で回復も早かった。計12回の施術で動き始めの痛みは消失、しゃがみ込みができるようになり、破行は消失、歩行時の痛みも大幅な改善が得られた。以降は疼痛管理のために定期的に来院されている。
使用したツボ
まとめ
変形性股関節症の疑いによる症状に対して、股関節の可動域改善を目的とした鍼施術を行った結果、症状の改善が得られた症例である。マッサージやヨガでは改善が見られなかった症状が、鍼施術により改善したことは特筆すべき点である。また、早期の医療機関受診を促したことで、適切な診断を受けることができた。症状の再燃時も回復が早く、日常生活動作の改善が維持されたことから、鍼施術の有効性が示唆された。今後は予防的な施術と自己管理の指導を組み合わせることで、さらなる症状の安定化が期待できる。