突然脂汗が流れて眩暈が出現したあとの難聴
症状
2014年11月。旅行中に突然脂汗が流れ血圧が急上昇した。同時に耳鳴り(右)がなり始め、ふらつくような眩暈が出現した。高血圧が1週間続いた後、聞こえが悪いように感じたため、耳鼻科を受診。聴力の低下を確認した。耳鳴りは昼間は「ザー、ザー」と聞こえ、夜になると「キーン」と聞こえる。来院時、眩暈は一時期より軽減したものの残っていた。
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来院者
男性
60 代
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期間
2014年12月 ~ 2015年3月
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頻度
週2~3回
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通院回数
21回以上
施術と経過
来院時、体調は安定しておらず、鍼治療を開始してもすぐに回復の傾向が見られなかった。体調や耳の状態が悪い方に向かっている最中に鍼治療を開始したため、悪化を食い止めるだけで精一杯であったというのが正直な感想である。しばらく「これ以上は悪化しないように」という意味を込めて治療を行った。10回を終えた時、眩暈は消え、耳鳴りから高い「キーン」という音が消えていた。聴力は回復の兆候が表れた。その後も治療を続けた結果、聴力の回復が少し見られたが、大きな成果は得られなかった。
データ
まとめ
治療成績は決して良好とは言えない。眩暈が消えた点においては成果が得られたと言えるが、「ザー」という耳鳴りが消失することなく、聴力も満足できるレベルまで回復できなかった。しかし、この症例は、聴力が低下しつつあった状況をプラスの方向に転化でき、若干ではあるが聴力を回復させることができた点で価値があると考えている。発症時に高血圧になるなど、明らかに不安定な体調が背景にあった。耳だけでなく、全身の状態に気を配りながら慎重に行った症例である。
担当スタッフ
栗原誠