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過敏性腸症候群について

過敏性腸症候群(IBS)

最近では、テレビなどでも取り上げてもらえるようになった「過敏性腸症候群」。
少しずつ認知はされてきていますが、まだまだ知られていない病気です。

どんな病気で、どんな治療を行うのか、まとめてみました。

過敏性腸症候群j(IBS)とは?

過敏性腸症候群(Irritable(過敏な) Bowel(腸) Syndrome(症候群))略してIBSとも言います。

過敏性腸症候群は10人に一人が患っていると言われており、潜在的にはもっと多い可能性もあるといわれています。

病院で検査をしても異常はないがお腹の症状で悩まされている方は、この疾患に当てはまる場合があります。

症状はタイプによって異なります。

過敏性腸症候群はタイプで分けると3つのタイプからなり【下痢型】【便秘型】【混合型】に分けられます。

 

【下痢型】

日常的に急な便意、腹痛がおこり、特に電車や授業中、仕事中などすぐにトイレに行けないような環境で症状が襲ってくる事が多く、外出が困難になる場合もあります。

このタイプは比較的男性に多い傾向があります。

 

 

【便秘型】

便意を感じトイレに行っても便が思うように出ないため、腹痛やお腹が張って苦しいなどの症状があります。

比較的女性に多く、最近では若い男性にも増えてきています。

【混合型】

一定期間で下痢型と便秘型を繰り返すタイプです。

 

【※ガス症状】

ガス症状単独というよりも、下痢型、便秘型、混合型に併せて起こることがある症状で、強いお腹の張り、腹痛、ガス漏れが起こり、周囲に人がいると自分のにおいが気になり、緊張することでさらに症状が悪化してしまいます。ガス症状でお悩みの方は多く、過敏性腸症候群の中でも深刻な症状の一つです。

 

検査では異常が見られない

過敏性腸症候群は内視鏡、血液生化学検査、尿一般検査、便潜血検査など検査をしても特別な異常がみられないのが過敏性腸症候群の特徴です。

 

過敏性腸症候群の原因

原因は今のところ分かっていません。

ですが、ストレスに大きく影響されていると考えられています。

腸と脳は、「脳腸相関」といい、密接に関係し、互いに影響しあっています。

脳が精神的な影響で強いストレスを受けると、自律神経を介して胃腸に伝達され、胃腸の不調を起こします。そして胃腸の不調は強いストレスとなり、再び脳に伝わります。

この脳腸相関の悪循環は時間とともにより根深いものとなっていきます。

 

またもう一つは緊張です。

この緊張とは精神的な緊張と身体的な緊張、両方を意味します。

上で述べたように、精神的な緊張はストレスとなり内臓に存在する神経伝達物質セロトニンを増加させます。増加したセロトニンによって腸に異常をきたします。

ちなみにこのセロトニンは脳では感情を安定させる作用があり、別名「幸せホルモン」と言われています。ですが残念ながら腸で増加しすぎても幸せではありません。

腸内のセロトニン作用は腸の動きを活発にさせる働きであるため、、増加することで下痢になることがあります。

 

また体の緊張は内臓の動きを妨げます。そして、肩や首のコリは自律神経を乱し、精神的な緊張を生むため気付かない間にリラックスする事が出来なくなってしまいます。

身体の緊張を改善することも、内臓の動きを安定させるためには必要不可欠です。

 

またそれ以外にも、食生活の欧米化、生活リズムの乱れも影響していると考えられています。

 

 

治療方法

 

食事や生活習慣の改善

・脂っこいものや香辛料を避け、コーヒーやアルコールを控える、また冷たいものや、刺激になるようなものは控えるようにする。

・低フォドマップ治療(消化しやすく発酵しにくいものを摂取する方法)

・規則正しい睡眠リズムを作る。

・適度な運動を行う。

 

 

代表的な治療薬

腸管運動調整薬  主に過敏性腸症候群下痢型に使用される薬で、腸の運動を促進するセロトニンを抑制し、下痢や腹痛をおさえます。ラモセトロンなど(イリボーなど)

便性状改善薬   主に過敏性腸症候群便秘型の使用されるお薬で、腸管内の水分量を調整する。ポリカルボフィルカルシウムなど(コロネルなど)

 

抗コリン薬  副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、腸の収縮を抑制し痛みや下痢症状を抑える。臭化メペンゾラートなど(トランコロンなど)

ガス減少薬  ガスでお腹が張る症状に用いる。ジメチコンなど(ガスコンなど)

抗うつ薬  脳に作用し、腸の動きを抑える。腹部の痛みを抑える。

抗不安薬  自律神経に作用して、症状やストレスを緩和させる作用がある。

その他  対症的に下剤や止痢薬を使う。

鍼灸治療

痛み、痺れ、不快感、不安、どのような症状でも、本来の心体状態でない場合、ヒトの身体は緊張を生みます。

痛みなどの症状があると、その場所やその周囲が硬くなったり、精神的な緊張で無意識に身体に力みが出たりします。

緊張している人に「肩の力を抜いて」なんて言うことからも、精神的緊張と肉体的緊張はリンクしていることが分ります。

ですが、緊張を自覚することは難しく、気づかないうちに身体に緊張を生み、お腹の緊張は内臓の動きを妨げてしまいます。

内臓の動きの悪さは内臓の不調となり、不調はストレスとなって再び脳に影響を与ます。

この緊張の悪循環を断ち切らなければなりません。

そこで鍼灸治療です。

 

鍼は古来より、緊張を緩めることを得意としている治療法です。

さらに当院が行っている整動鍼という治療法は鍼灸治療の中でも緊張を緩めることに秀でた治療法です。

 

当院では腹部を独自のエリアに分けて診ることで、症状の原因となっている緊張を見逃さない治療をしています。

各エリアに対応したツボを使い分け、実際に患者さんご本人が感じる腹部の痛みや、不快感、硬さを指標に、治療を行います。

腹部に直接鍼をすることはありません。

 

鍼をお腹に関係する手足に行うことで、お腹の緊張を緩め、内臓の負担を軽減します。

治療は週に2回行うことが理想的です。

週に1回でも可能ですが、空いている期間お腹の緊張が戻る場合がある為、1週間以上間隔をあけない方が結果的に回数が少なく済みます。

 

治療の回数は、5回を1セットで行い、改善具合を見ながら今後の方針を決めていきます。

改善の目安として、5回~15回ほどの治療回数となります。

5回~15回と幅があるのは、回復スピードに個人差があるからです。

この5回~15回で治療を終了するか、もう少し続けるかは症状とご本人のご希望を考慮して決めていきます。

こちらから継続を強要するようなことは決してありません。

症例はこちらから »

最後に

この病気は、「体質だから仕方ない」、「治療したけど治らなかった」、「恥ずかしいという思いから相談できず、孤独に戦っている方が多いと思います。

そして、薬以外の治療方法もまだまだ認知されていない為、解決策がないと思われがちです。

当院は多くの過敏性腸症候群の方がいらっしゃっています。

専門の医療機関だからこそ相談できることもあると思います。

当院の専門分野です、自信をもって治療しています。