NEW母指の曲げ伸ばし時の激痛とロック感の改善例
症状

右手の母指を動かす際に強い痛みがあり、曲げ伸ばしが困難な状態であった。1ヶ月前から少し気になり始めたが、1週間前より痛みが強くなり、子どもを抱っこしたり、スマホ操作やタブレットでペンを使う際に特に痛みが増すとのこと。母指を無理に曲げると第一関節と第二関節の手のひら側に激しい痛みが生じ、曲げた後はロックしてしまい、左手でサポートしないと元に戻せない状態であった。日常生活や育児に支障をきたしており、以前同様の症状で整形外科を受診し注射を受けた経験があるが、今回は注射を避けたいとの希望で来院した。
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来院者
30 代
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期間
2024年3月 ~ 2024年5月
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頻度
週2~3回
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通院回数
16回~20回
施術と経過
初診時の触診では、母指が伸びた状態で固まり、曲げることが困難であった。また、胸椎の7番目(T7)と8番目(T8)の動きが特に硬く制限されていたため、背中のツボに鍼を行った。同じ施術を3回繰り返したが、2回目までは大きな変化は見られなかった。3回目の施術後、母指が伸び切るようになり、少しずつ曲げられるようになった。その後、10回の施術を終える頃には、発症時より6割程度曲げられるようになったが、動作時にガクガクとした不安定さや母指に沿った違和感が残っていた。
17回目の施術では、肩甲骨の内側にあるツボに鍼を追加したところ、母指に沿って感じていた抵抗感が溶解する感覚を訴えた。その後、施術を重ねるたびに改善が見られ、20回目の施術を終える頃には、母指の可動域や痛みが健康な左手と同程度まで回復したため、施術を終了とした。
使用したツボ
まとめ
右手母指の痛みと可動域制限に対して、背中や肩甲骨周辺のツボに鍼を行うことで改善が見られた症例である。特に、17回目に肩甲骨内側のツボを追加したことで、母指に沿った違和感が解消され、可動域の回復が加速した点が特徴的であった。症状の改善には20回の施術を要したが、最終的には日常生活や育児に支障がない状態まで回復した。今後も同様の症例において、背中や肩甲骨周辺のツボへのアプローチが有効である可能性が示唆された。