NEW中指の過敏症状と手袋生活からの改善例
症状

1年前に橈骨遠位端部骨折を起こし、手首にプレートが入った状態であったが、半年前に車のロックを外そうとした際に親指、薬指、中指に痛みが生じた。その後、プレートを除去する手術を受けたが、術後から中指に感覚異常、強い痛み、痺れが現れ、何かに触れるだけで飛び跳ねるほどの過敏な状態となった。現在では中指が最も症状が強く、薬指は異物感を伴う痺れ、親指は曲げづらい機能障害がある。日常生活では物をつかむことが困難であり、布団やお札に触れるだけで痛みが走るため手袋を着用している。医療機関では神経が過敏になっている可能性が指摘され、神経薬や痛み止めを服用しているが効果は見られていない。
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来院者
女性
60 代
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期間
2025年2月 ~ 2025年5月
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頻度
週1回程度
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通院回数
11回~15回
施術と経過
初診時、中指は触れることができないほど過敏であり、親指には屈曲制限が見られた。症状に関連する背中のツボに鍼を行ったところ、施術後1日は状態が良好であったが、その後徐々に症状が戻る傾向があった。2回目以降は週1回の施術を継続し、背中の緊張を解消することに重点を置いた。4回目の施術で中指以外の症状が軽減し、9回目には施術後の状態が次回まで持続するようになり、手袋を外して生活できるようになった。13回目には中指の痛みが強く押した時のみ感じる程度に改善し、14回目には中指の先端の「帽子をかぶっている感覚」にも対応できたため、施術を終了した。施術期間中に症状の再燃や新たな症状の出現はなかった。
使用したツボ
まとめ
本症例では、橈骨遠位端部骨折後のプレート除去手術に伴う神経過敏症状に対し、背中のツボへの鍼施術を行った。週1回の施術を14回にわたり継続することで、中指の感覚異常や痛み、親指の機能障害が改善し、日常生活の質が向上した。特に背中の緊張を解消する施術が症状の軽減に寄与したと考えられる。症状の改善には一定の期間を要したが、継続的な施術により症状の持続性が向上し、最終的には手袋を外して生活できるまで回復した。この症例は、神経過敏症状に対する鍼灸の有効性を示唆するものであり、今後の治療方針としても参考になる。
担当スタッフ
洲崎 和広