上腹部痛と食欲不振。3ヶ月で3体重kg減少を伴う
症状

上腹部の痛みと食欲不振を主訴に来院。
3ヶ月で3kgの体重減少を伴っていた。内科で胃カメラ検査を受けるも器質的異常は認められず、機能性ディスペプシアの疑いと診断される。
漢方薬(安中散、六君子湯、半夏瀉心湯)を各2週間ほど服用するも効果は得られなかった。初診時の所見では、鳩尾と臍の中間部の圧痛と不快感、下腹部の冷えが顕著であった。
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来院者
女性
30 代
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期間
2024年2月 ~ 2024年2月
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頻度
週2~3回
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通院回数
2回
施術と経過
初回施術では、左側の足のツボ(千里三里、四瀆)と下腿内側のツボ(三陰交)に鍼をした。施術後、鳩尾周辺の違和感が軽減。2回目の施術では、初回と同様のツボに加え、臍下へのお灸による温熱刺激を行った。予後として3ヶ月程度の施術期間を想定していたが、2回の施術で症状は消失した。半年後、腰痛を主訴に来院した際、上腹部症状の再発はなかったことを確認している。
使用したツボ
まとめ
機能性ディスペプシアの疑いに対して、足のツボと下腿内側のツボへの鍼施術、さらに臍下へのお灸による温熱刺激を組み合わせることで、予想以上に早い改善が得られた症例である。
西洋医学的な検査で異常が認められず、漢方薬による治療でも改善が見られなかった症状に対して、鍼灸施術が有効であった。本症例は、上部消化管の機能性疾患に対する鍼灸施術の有用性を示唆するものである。