NEW頸部の動きで誘発される持続性めまい
症状

症例者は3〜4年前より動作に伴うフラフラするめまいを訴えている。初めてめまいが発生したのは、足元を見て首を戻した際であり、同時に耳鳴りも発症した。その後、医療機関でメニエールの疑いと診断を受け、耳鳴りは改善するもめまいのみが残存した。その後、診断名はPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)へと変わり、薬物療法や生活習慣の改善を図ることで軽快していたが、一週間前に料理中や階段で激しいめまいが起きた。症状は主に動作時、特に頸部の前屈時に誘発され、日常生活では常にめまいへの不安を抱えながら過ごしていた。また、首や肩のこりが随伴症状としてみられた。
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来院者
女性
40 代
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期間
2024年2月 ~ 2024年6月
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頻度
月3回程度
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通院回数
11回~15回
施術と経過
初診時の触診と動作確認では、頸部前屈時に右背部に痛みと筋肉のハリ感が認められた。初回は足や手のツボに鍼を行い、背中の筋肉を緩める施術を行ったところ、頸部前屈がやりやすくなった。2回目以降も同様の方針で施術を進めた。2回目の来院時には軽いめまいが2〜3回発生したとの報告があったが、3回目にはめまいの頻度が1回に減少した。その後5回目まではめまいが一度も起きなくなり、週一の施術頻度を二週間に一度へと変更した。その後、6回目の来院時に2日前に軽いめまいが発生したとの報告があったが、症状は軽度であったため引き続き二週間に一度の施術を継続した。最終的に、二週間に一度の施術を4回行った時点でめまいは完全に消失し、その後再発はみられていない。
使用したツボ
まとめ
この症例では、頸部前屈動作時に誘発されるめまいを主訴とし、首肩のこりや背中の筋緊張が関連していたと考えられる。施術では、足や手のツボへの鍼と背中の筋肉を緩めるアプローチを継続的に行ったことが効果を示した。施術回数を重ねるごとにめまいの頻度が減少し、最終的に症状は消失した。本症例は、動作誘発性のめまいに対して首肩や背中の筋緊張の調整が有効であることを示唆している。また、症状の経過を観察しながら施術間隔を調整することが、予後の改善に寄与したと考えられる。