NEW左下腹部と右季肋部の腹痛と下痢
症状
症例者は2週間前から腹痛と下痢を訴え、主に仕事中に症状が出現していた。痛みは左下腹部と右季肋部に強く現れ、急激な腹痛のため一時的に仕事を中断しなければならない状況であった。便が出るか、しばらく横になると痛みは軽減するという特徴があった。医療機関を受診したが、異常なしとの診断を受けた。また、稀に腰痛も感じるとのことだった。日常生活への影響は大きく、仕事の妨げになっていることが最大の課題とされていた。
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来院者
男性
30 代
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期間
2024年5月 ~ 2024年7月
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頻度
週1回程度
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通院回数
7回
施術と経過
初診時、触診では左下腹部、右季肋部、および左側腹部に圧痛が認められ、体幹を伸展した際に腰に痛みが出た。初回は左下腿部前面と右手の甲に鍼を行ったところ、腹部の圧痛が軽減し、腹痛の頻度もやや減少した。2回目以降は同様の圧痛部位を確認しながら、同じツボへの鍼に加え、腰部の動きを改善するための施術を実施した。3回目には下痢がなくなり、5回目の施術では腹痛の頻度もほとんどなくなったとの報告を受けた。症状が完全に消失するまでに5回の施術を要したが、疲労時に症状が稀に再発することもあった。腹部の圧痛が再度現れた際は、初診時と同様の箇所に鍼を行い対応した。
使用したツボ
まとめ
腹痛と下痢により日常生活と仕事に大きな支障をきたしていた症例であるが、腹部および手足のツボに対する鍼が症状の軽減に寄与した。特に初診時の腹部圧痛部を重点的に観察しながら施術を進めることで、腹痛と下痢の頻度を段階的に減少させることができた。再発時にも適切な対応を行うことで、短期間で症状を管理することが可能であった。本症例は、鍼灸施術が急性の腹痛や下痢に有効である可能性を示唆しており、体幹の可動域や圧痛部位の変化を観察しながら施術を行うことが重要であると考えられる。
担当スタッフ
藤枝 聖也