NEW突然発症した両側性耳鳴り、高音から複数音に変化
症状
2ヶ月半前に突然発症した耳鳴りの症例である。当初は右耳が強く感じられたが、すぐに左右差がなくなり、頭の中で鳴っている感覚へと変化している。音の性質は「ピー」「キー」という高音が中心で、「シャー」「モワ〜」といった音も混在している。耳を塞ぐと症状が目立つ特徴がある。耳鼻科での聴力検査では目立った低下は見られず、薬物療法への不安から心療内科に転院し、副作用の少ない薬剤での治療を試みたが改善は見られなかった。騒音の多い工場での不規則な勤務が発症の誘因として考えられる。
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来院者
男性
30 代
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期間
2020年3月 ~ 2020年6月
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頻度
週1回程度
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通院回数
16回~20回
施術と経過
初診時、僧帽筋に顕著な緊張が認められた。僧帽筋と背部、手のツボを用いた施術を実施している。初回施術後、帰宅時に耳鳴りの軽減を自覚したが、一時的に症状が強く感じられる場面もあった。以降も同様の施術を継続し、「サー」「シャー」が混在するなど症状の性質に変化が見られた時期もあったが、全体的には徐々に軽減傾向を示した。仕事再開時に一時的な症状悪化が見られたものの、20回の施術を通じて改善が得られている。
使用したツボ
まとめ
騒音環境下での勤務が誘因となった耳鳴りに対し、僧帽筋の緊張緩和を主眼とした施術アプローチを行った症例である。耳鳴りの性質や強さに変動が見られたが、継続的な施術により改善が得られた。職場環境との関連が示唆されることから、今後の再発予防には作業環境の改善や、ストレス管理の重要性が考えられる。本症例は、耳鳴りに対する東洋医学的アプローチの有効性を示すとともに、症状と職業性ストレスとの関連性についても示唆を与えるものである。