寒冷暴露後に発症した右側の顔面神経麻痺
症状
発症6日前に寒冷環境での長時間の滞在歴があり、その後、耳たぶの後ろに痛みが出現している。その後、目が閉じにくさを自覚し、歯磨き時に水がこぼれる症状が出現した。脳神経外科でMRI検査を実施したが異常は認められず、「顔面神経麻痺」と診断された。右側の顔面に症状が集中しており、まぶたが完全に閉じない状態で、口の動きにも左右差が認められた。また、随伴症状として肩こり、胸焼け、耳鳴りがあり、聴覚の違和感も訴えていた。
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来院者
女性
10 代
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期間
2022年10月 ~ 2022年10月
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頻度
週2~3回
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通院回数
10回
施術と経過
右側の肩甲骨内縁や僧帽筋のツボ、手のツボを主に用いて施術を行った。症状は段階的に改善し、まず目が閉じやすくなり、その後口周りの動きに改善がみられた。施術期間中に嘔吐症状が出現したが、肩や頚部のコリが誘因と考えられたため、通常の施術を継続した。約10回の施術で8〜9割の症状改善が確認された。
使用したツボ
まとめ
本症例は寒冷暴露が誘因となったと考えられる右側の「顔面神経麻痺」である。発症早期から施術を開始し、耳介後部の痛みや随伴する肩こり、胸焼けなどの全身症状にも着目して施術を行った。右側の肩甲骨内縁や僧帽筋、手のツボを中心とした施術により、目の症状から改善が始まり、その後口周りの動きも回復した。約10回の施術で8〜9割の改善が得られ、段階的な回復経過を確認できた症例である。寒冷暴露による「顔面神経麻痺」に対して、全身症状を考慮した施術アプローチが有効であることが示唆された。