NEW1年前から悪化した両耳の難聴
症状
症例者は70代女性で、5年前の職場の聴力検査で聴力低下を指摘されたことが発端である。当時、耳鼻科で血流改善薬を処方されたが変化を感じられず、遺伝的なものと諦めていた。1年前に転職し、寒い日を境に会話やテレビの音が聞こえづらくなった。両耳で「ジージー」という耳鳴りがあるが、意識を集中しなければ気にならない程度である。日常生活では会話やテレビの音が聞き取りづらく、後頭部には常に張りを感じていた。年齢的なことや遺伝的なことで改善は難しいと考えていたが、鍼灸師である家族に相談したことがきっかけで来院に至った。
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来院者
女性
70 代
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期間
2026年1月 ~ 2026年2月
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頻度
週2~3回
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通院回数
8回
施術と経過
初診時の触診では、後頭部から顎や肩甲骨にかけて過度な緊張が認められ、鼻の通りも良くない状態であった。施術は後頭部の緊張を取るために背中のツボ、肩甲骨の動きと顎の動きを改善するために肩甲骨のツボ、さらに鼻の通りを良くするツボに鍼をした。初回施術後、全体的な肩や首の筋肉の緊張は緩和された。2回目以降も同様に後頭部から首周り、背中の緊張を取る方針で施術を継続した。施術後に疲労感やだるさを感じることもあったが、少しずつ聞こえが改善していった。5回目の施術後に大幅な改善を自覚し、電話での聞き取りが容易になった。簡易聴力検査では右耳が55dBから35dB、左耳が58dBから37dBまで回復した。全8回の施術を通じて症状の再燃はなく、順調に安定した回復を示した。
使用したツボ
まとめ
本症例は、5年前からの聴力低下と1年前から悪化した難聴に対して鍼施術を行い、顕著な改善が得られた例である。後頭部から首、肩甲骨にかけての筋緊張が聴覚機能に影響を及ぼしていたと考えられ、これらの部位への施術が効果的であった。症例者は年齢的・遺伝的要因で改善は困難と諦めていたが、8回の施術で聴力が両耳とも約20dB改善し、日常生活での聞き取りが容易になった。施術後の一時的な疲労感はあったものの、症状の再燃なく安定した回復を示したことから、筋緊張の緩和が聴力改善に寄与したと推察される。本症例は、難聴に対する鍼施術の有効性を示す一例として意義深い。










