筋膜と腱の捻じれによる臀部の痛み
症状
来院の3週間前、突然、仕事中(立ち仕事)に左臀部に痛みが発生。
その後、近くの病院に行くが原因が分からず、紹介状を書いてもらい大きな病院で診察を受ける。
MRIで検査をしてもらったところ、「筋膜、腱が捻じれているいるために痛みが出ている。」と言われ、『痛み止め』と『シップ』を処方される。
「そのうち良くなるので、ゆっくりしてください。」と言われて2週間ほどゆっくりしていたが、ほとんど良くならなかった。
仕事にも出ないといけないし、早く治したいということで来院されました。
症状は、左脚を踏み出すために脚を持ち上げようとすると強い痛みが出るため、びっこを引いて歩く状態。
また、立ち上がるときや立っていても痛いということでした。
触診すると、大殿筋の中央の奥の方が痛いということでした。
病院ではそこが捻じれていると言われたそうです。
施術の最終目標は、「痛みが多少あっても仕事ができるまで回復できれば良い」ということでした。
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来院者
男性
20 代
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期間
2020年9月
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頻度
週2~3回
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通院回数
3回
施術と経過
実際に痛みを出していただくために、歩行、体幹の前後屈や回旋など動いてもらうと、すべて大殿筋の中央の奥の方に痛みが出るということでした。
触診でも、大殿筋の中央を触ると痛みが出るということでした。
MRIで撮った通り、大殿筋の奥の方で筋膜などが捻じれているのだろう判断しました。
施術は、左臀部をゆるめるツボと左ハムストリングをゆるめるツボに刺鍼を行いました。
施術後に歩いいただくと、痛みが4割~5割程度軽減したということだったので、初回の施術は終了しました。
2回目の施術を始める前に状態を聴いたところ、初回の施術が終わった時と変わらないということだったので、引き続き同じ施術を行いました。
施術後は、痛みはありましたが、ももを上げて歩くことが出来るようになっていました。
3回目の施術では、普通に歩くこともできるようになり、施術目標にしていた仕事への復帰ができたということで、すべての施術を終了しました。
使用したツボ
まとめ
MRIの検査により、筋膜、腱の捻じれが原因で痛みが発生しているということが分かっていたので、通常は痛みの発生している左大殿筋の奥が施術ポイントになる。
しかし、「痛み止め」や「シップ」をしても痛みの軽減が無かったということを問診で聴いていたので、直接、左大殿筋に鍼をしても回復は難しいと考えました。
そこで、左大殿筋の動きと関連がある『左腰部』と『左ハムストリング』に注目しました。
腰部とハムストリングの動きが良くなれば臀部への負荷が減り、症状の改善が期待できると考えたからです。
また、左臀部を調整するツボも左腰部にあるため、左腰部へ施術が左臀部への効果的な施術になるとも考えていました。
本当に筋膜や腱の捻じれが原因で痛みが出ているのなら、捻じれが解消されないと痛みはなくなりません。
今回の施術で、実際に筋膜や腱の捻じれがとれたのかはMRIを撮っていないので、分かりません。
ただ、病院で器質的な問題(筋膜、腱の捻じれ)で痛みが出ていると診断されても、機能面を調整(腰部、ハムストリングの動きやすさ)することで、症状を改善させることができるということが分かる症例でした。