「胸椎椎間関節症」と疑われた背中の痛み
症状
1カ月前から、夜寝ていると左右の背中からあばらに沿って痛みが走り、2〜3時間おきに目を覚ますようになった。朝起きると、背中・あばらと痛みはあるが、次第に消えていき日中は気にならなくなる。整形外科で、レントゲン・MRIの検査を行うが、異常がみられない。「胸椎椎間関節症の疑いがある」と診断され、痛み止めで様子を見るよう言われた。しかし、数日経っても痛みが治まらないため、ネットで「胸椎椎間関節症」と調べ、東京の某鍼灸院に電話で相談した。すると、「治すには通院してもらわなければならない。群馬県からでは通院が大変だろうから、通える鍼灸院を探した方がいい。」という理由から、当院を紹介された。
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来院者
男性
10 代
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期間
2016年9月
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頻度
週2~3回
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通院回数
3回
施術と経過
夜間に痛みが見られやすいことから、長時間仰向けの姿勢をとる事で背骨を挟むように位置する脊柱起立筋に負担がかかり、あばらに沿って横方向に痛みが波及したものだと考えた。背中を触診すると、胃腸と関係の深いツボに反応が見られた。背中のツボの緊張(こわばり)を取るため、膝のツボに鍼をした。さらに上体を前傾させる時に腰に痛みを感じるため、足のツボで調整した。前回の治療後から、夜間に痛みで目が覚めることはなくなった。朝起きた時に、背中と腰に軽い痛みが残る程度まで改善。同様の方針で治療を行い、3回目の施術を終えた時点で、背中の緊張が完全に取れたので治療を終了した。
使用したツボ
まとめ
背中をよく観察することで胃腸と関わりの深いツボの緊張をみつけ、胃腸のトラブルを疑った。尋ねてみると、普段から乳製品を取るとすぐお腹を下しやすく、最近は冷たいものを大量に飲むことが多かったとのこと。冷たい飲食を普段から控え、胃腸への負担を減らすようにお伝えした。鍼灸治療も効果的であるが、日常生活での負担を減らすことも早期の改善のためには必要である。症状の特徴をよく観察した後、そこから生活環境や嗜好を想像することで、ツボの作用に頼りきらない総合的な視野で治療を行うことができると言える。