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月曜日の朝、要注意です!腰痛患者さんの44、5%がこの時間に発症します!

腰の痛み・ぎっくり腰の要因

腰痛の要因は、環境要因・動作要因・個人的要因・心理的(社会的)要因が関与しています。

数年運動していなかった人が急に運動することでケガのリスクが高まることを考えると自分の耐性を超えたときに痛みなどの身体のトラブルが発生していることがわかります。同じ職場で同じ労働内容で“何で自分だけが痛くなったの?”とそう感じることもあるかと思います。そして今の時期(冬)は寒むさ(環境要因)の比重が高まると必然と感じやすいのが“痛み”であり、『腰痛』は自覚症状の中でも第1位に当たります。

様々なタイプの腰痛がありますが“ぎっくり腰”ような急性的に発症する腰痛の患者さんをこの時期に多く診ます。

※ちなみにぎっくり腰が「魔女の一撃」といわれますが、これはドイツ語に由来しています。
ぎっくり腰をドイツ語では、Hexenschuss(魔女の一撃)と呼びます。

Hexenは“魔女”、chussが“一撃”という意味でそのまま「魔女の一撃」がぎっくり腰になったようです。ぎっくり腰というのは、突然心当たりなくやってくる腰痛なので、魔女がやってきたいうのが由来だと言われています(諸説あり)

ぎっくり腰でお悩みの患者さんが来られたとき「どのようにして痛くなりましたか?」と聞くと…

「下ものを取ろうとしたとき腰がピキッとして…」
「朝起き掛けに身体を捻じるとバキッと鳴って…」
「長距離運転した後に降りようと思うと腰がバーンと張って…」

様々な発生機序をお聞きしてきました。

この耐性の問題と関係が深いデータが2つあります。資料を元にグラフ化してみました。

まずは【腰痛発生時間帯と発生割合】と言うものです。

午前中の発生頻度が高いことがわかります。9時~10時にピークを迎え、ここで15%を示しています。
  • 7時~11時は、44,5%
  • 11時~15時は、28%
  • 15時~19時は、16,2%
  • 19時~23時は、4、2%
  • 23時~3時は、2、4% 
  • 3時~7時は、4,7%

次に【曜日別腰痛発生状況】を見てみます。

月曜日(休み明けの週始め)が一番多い。ただ、保健衛生業(介護事業を含む)、商業では日曜も稼働するためこの傾向は見られない。
  • 月曜日は20,9%
  • 火曜日は16,8%
  • 水曜日は15,5%
  • 木曜日は14,6%
  • 金曜日は14,9%
  • 土曜日は11,0%
  • 日曜日は6,4%

となっています。今回は、なぜこのようになるかを解明していきたいと思います。

腰痛のおさえておくべき特徴と先日のお話

  • 国民の約8割が一度は経験している
  • 85%は原因不明(:非特異的腰痛)
  • まじめな人ほどなりやすい(同一姿勢が多く筋肉にストレスがかかりやすい)

ここで先日の当院での一例を紹介します。

「朝、起きたら腰が痛くて…」と患者さんが来ました。
「昨日、何かありましたか?寝具変えましたか?」と聞きます。

「昨日は会社の大掃除で、蛍光灯を掃除しているときに腰を痛めてしまった。それ以降、自分より高い所にあるものを掃除するときは結構苦労した。なんとか掃除を終え痛みも気になったがそのまま忘年会へ行った。そこでビール3杯飲み、痛みも忘れていました。すると朝、起きると立てないくらい腰が痛くて今日来ました。」

とこのようなケースは胸椎の硬さが腰部の緊張を招いたと原因を察知できますがだいたいの場合は
「寝具も変えていないし、思いたる要因はありません。」と言う方がほとんどです。
要因や思い当たることがなければ施術できないのか?
実はそうではありません。ここからはウデの見せ所です!

発生時間帯別第1位の朝方の腰痛で言えば“朝起きる前にその原因がある”と考えます。

①前日、数日前の過ごし方はどうだったのか?アクシデントはなかったのか?それまで腰痛を感じていなかったのか?と言う事柄に耳を傾けます。

②外科的な疾患・内科的な疾患を含め既往歴を聞き出すことも必要となります。

③寝具については寝返りを上手くうつことが出来る環境なのかを確かめるために聞き出しています。

これらの情報を整理し原因を探り施術に入ります。

“腰痛のツボ”と検索をかけてみるとわかるように手指、手の甲、肘、肩甲骨、腰、臀部、大腿部、膝関節周辺、足首、足指と全身に位置しています。私達はこれら全てのツボへ鍼をするわけではありません。1人1人発生状況が違うように原因点(ツボ)も違うからです。

腰痛予防の視点で…

③の上手に寝返りをうつことが出来るか?は腰痛予防の1つであります。ツボの所や冒頭で示した通り腰痛の原因点は全身にあるため寄与因子を少しでも減らすことが大切であります。ソファーでそのまま寝てしまったら腰痛になった事や机で勉強していてそのまま寝てしまい腰痛になった経験をした方も多いと思います。ソファーや硬いイスでは『寝返り』をすることができないのです。寝返りをすることが出来ないと筋肉が凝り固まり朝になって痛みを発症するのです。
寝ているときは体重の4割が腰の筋肉にかかると言われています。寝返り動作がないと腰の血管が圧迫されて血流不全になってしまいます。すると血管は酸欠状態になり、痛みの炎症物質が放出されます。このことからも腰の筋肉の緊張が痛みを引き起こしていると言えます。
なお、一般的な健康な人の寝返りの回数は一晩で20回以上と言われています。
回数は寝室にカメラを置かないとわからないのですが朝起きて腰が痛い人は寝返り回数が少ないはずです。気になる方はいつもの自分の布団で左右に上手に寝返りをうつことができるかを確かめてみてください!

朝の腰の痛みと寝返りは大きく関係しています。
平日は仕事などで動いてそれなりの筋肉を使い運動をしていた状態を日曜日になり生活を変えてしまう方が多いと思います。
日中ゆっくり過ごし(悪い言い方をすれば、ダラダラ)、お腹が空いてご飯食べては寝る…
翌朝の月曜日は出勤。すると腰が動かない、痛い。前日に休んだ分、急に動く月曜日の朝に発症が多いようです。
車に乗り込んだ時など『いよいよ!!』と言うときに痛みが出る事もあります。

考察&想い

腰は肉月に要と書きます。身体の要(かなめ)であることがこの漢字の由来であります。解剖学的な位置を見ても身体の中心部に位置していかにも大切な場所と言えます。デスクワークなど座って作業する人は上半身からの影響を受けやすく、レジの店員など立ち仕事する人は下半身からの影響を受けます。

一般的な腰痛に効くツボが全身に位置していることからも腰が他の部位からの影響を受けやすいと言えます。

今まで腰痛になったらどのように考えていましたか?

コルセット、湿布、痛み止め、牽引療法、電気治療、テーピング、マッサージ・カイロプラクティック・整体・鍼…世の中にはあらゆる手段があります。鍼の中でも様々な流派があり地域の鍼灸院を巡って全ての治療院が違うやり方ということもよくある業界なのです。

当院が所属している整動協会は1本~数本の鍼で効果を期待できる鍼技術を提供しています。

その点セラピスト側はゴマ粒大のツボをピンポイントに鍼をする技術を求められますが受ける患者さんにとってはメリットが高いと思います。余計な鍼をせず、数本の鍼のため施術時間も短く済みます。腰が痛いから腰に鍼をするのではありません。身体の要であれば、負担が他の部位よりかかるものであります。腰で起きているスムーズではない連動を整えることを重点に置きます。寝返り動作は全身運動のため、どこかに歪みがあると動きづらさや痛みが出ます。痛めた要因を一緒に探り原因となる場所へ適切な刺激を行うことが自分らの役目と思います。忘れてはいけないのは、施術はあくまで治すのではなく患者さんのもっている自然治癒力を高めるためのものであるということであります。

《参考資料》