NEW子育て中の寝返りで生じた肩と首の痛み
症状
1週間前、子どもの寝返りで左腕が下敷きになった際に発症した左肩から肩甲骨周囲の痛みを主訴に来院した。痛みは常時存在し、寝つきが悪いなど睡眠にも影響が出ていた。また、頸部の可動域制限も認められた。初診時の所見では、左肩甲骨内側部の筋緊張が顕著で、頸部の後屈や回旋時に疼痛が誘発された。医療機関での受診歴はなかった。
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来院者
女性
30 代
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期間
2022年8月 ~ 2022年10月
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頻度
週1回程度
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通院回数
5回
施術と経過
初回は主に手や腕のツボへの鍼施術と、背部の筋緊張緩和を目的とした施術を行った。施術直後は症状の軽減が見られたものの、頸部の動きに伴う痛みは残存した。その後、背部の痛みは改善傾向を示したが、頸部に筋性の疼痛が強くなったため、背部のツボを中心とした施術を行った。施術を重ねるごとに症状は改善し、抱っこ紐使用時など特定の動作時のみ痛みを感じる程度となり、5回の施術で寛解に至った。施術期間中、一時的に頸部の疼痛が増強する場面もあった。
使用したツボ
まとめ
本症例は、育児動作を契機に発症した急性の肩甲帯周囲の疼痛症例である。初期には背部の筋緊張が主症状であったが、施術を重ねる中で頸部症状が顕在化した。これは、代償的な姿勢パターンによる二次的な症状と考えられた。背部から頸部にかけての段階的なアプローチにより、効果的な症状の改善が得られた。育児中の急性外傷では、代償動作による二次的な症状の出現に注意を払う必要があることが示唆された。また、症状の変化に応じて施術部位を適切に選択することで、より効果的な改善が期待できることが確認された。