抱き上げる度に感じる手首から親指にかけての痛み
症状
3ヶ月前に出産、赤ちゃんを抱き上げる度に「ズキッ」とした手首の痛みが増してくる感じがする。
両側の親指が曲げづらくなり、ビンの蓋を開けることが出来なくなった。
手首を小指側へ曲げると、親指側の手首に痛みが走る。
症状に影響しているのか、妊娠前から慢性的に首・肩のこりが酷く、妊娠中も困っていた。
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来院者
女性
30 代
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期間
2018年12月 ~ 2019年1月
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頻度
週1回程度
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通院回数
7回
施術と経過
・初回
両側の鎖骨周囲に筋緊張があった。
そのため親指の曲げ伸ばし(屈曲・伸展)動作が上手くおこなえなくなっていた。
この鎖骨周囲の筋緊張を緩めるため、首と背中の境界辺りにあるツボへ鍼をおこなった。
すると、左側の親指の曲げ伸ばしが楽になり、痛みを感じなくなった。
また、右側の親指は少し動作が楽になったにとどまった。
・2回目
左側の親指は状態がよかったことから、予防も兼ねて前回と同じ施術をおこなった。
右側は曲げ伸ばしの動作に加え、小指側へ手を曲げる(尺屈)動作がおこなえず痛みを訴えていた。
症状の性質を調べると、鎖骨周囲から肩上部へ筋緊張がみつかった。
前回の施術に加え、首と背中のやや外側にあるツボへ鍼をおこなうと親指の動作が楽になり痛みも半分くらいの印象になった。
・3~5回目
2回目からの施術を継続。
親指の曲げ伸ばし動作が楽に出来るようになり、密封された袋を両手で引っ張り開けることが出来るようになっていた。
ただ、小指側へ手を曲げる動作で親指側の手首に痛みが残っていた。
・6回目
5回の施術を終え、小指側へ手を曲げる動作で手首に痛みが未だ出現することから、動作に関係する別の緊張がないか調べた。
すると、右肘周囲に筋緊張がみつかり、この緊張を緩めるため肩先にあるツボへ鍼を行ったところ、赤ちゃんを抱き上げる動作が楽になり痛みが消失していた。
・7回目
1週間経過し、日常生活の中での動作で痛みを感じることはなくなっていたことから、予防のため6回目と同じ施術を行い今回の施術は終了した。
使用したツボ
まとめ
産後に発症しやすい腱鞘炎の症例だった。
妊娠前から首・肩のこりを実感していたことから、首・肩の筋緊張が関係している可能性が直ぐに浮かんだ。
赤ちゃんを抱き上げる際に、体幹から腕を離してしまうことが多い。
そのため、抱き上げる動作で首・肩の筋力に頼ってしまうため、余計に筋緊張を生んでいた。
首・肩の緊張が度を越えていたため、肘・手首の可動域が通常より失われ痛みに変わっていた症例だった。