NEWコロナ後の喉の違和感と頸部の緊張感
医師による診断:慢性上咽頭炎
症状
1か月前から喉の違和感と頸前面の緊張感を訴えて来院した。2か月前に新型コロナウイルス感染症に罹患し、回復後休みなく働いていたところ、喉が詰まるような感覚が出現した。症状は1日中持続し、変動はみられなかった。声を出す仕事に従事しており、喉の違和感により声がかすれたり、大きな声が出せなくなるなど、業務に支障をきたしていた。医療機関で慢性上咽頭炎の疑いと診断され、Bスポット療法を受けたが、大きな改善は得られなかった。また、後鼻漏と左側の耳の痛みも時折認められた。
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来院者
女性
60 代
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期間
2025年9月 ~ 2025年10月
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頻度
週1回程度
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通院回数
3回
施術と経過
初診時の触診では、頸部前面に緊張感が認められ、特に左側の首前面に強い緊張がみられた。頸部の屈曲伸展動作では右側に痛みが生じた。手足のツボに鍼施術を行ったところ、初回施術後に「声が通った感じがする」との反応が得られた。2回目以降は同様の施術方針に加え、頭部の熱を下す処置を追加した。施術を重ねるごとに喉の詰まりが徐々に軽減し、楽になっている期間も延びていった。施術期間中、お菓子を多く摂取した翌日に軽度の症状再燃がみられたが、3回の施術で大幅な改善が得られた。
使用したツボ
まとめ
新型コロナウイルス感染症後の過労により生じた喉の違和感と頸部緊張に対し、手足のツボへの鍼施術と頭部の熱を下す処置を組み合わせた治療を行った。初回から声の通りの改善が実感され、5回の施術で症状は大幅に軽減した。慢性上咽頭炎の疑いに対する西洋医学的治療で改善が得られなかった症例において、東洋医学的アプローチが有効であった。施術期間中の食生活の影響も観察され、甘味の過剰摂取が症状再燃の一因となる可能性が示唆された。声を使う職業に従事する患者にとって、早期の症状改善は業務復帰において重要であり、本症例は鍼灸治療の有用性を示すものである。
担当スタッフ
藤枝 聖也













